虫歯とは
ご自身の歯を守るうえで、必要なことは病気の原因を知ることです。
歯の病気の二大疾患は「虫歯」と、「歯槽膿漏(歯周病)」です。
そのうち「虫歯」とは、口の中のミュータンス菌など多くの種類の虫歯菌が
歯の表面で砂糖などの食品の糖を利用して「酸」を作り、
その酸によって歯が溶かされる(脱灰)病気です。
細菌と糖の塊をプラーク(歯垢)といい、
歯磨きをしていない状態の歯の表面を爪でこすると
チーズのような粘着物として見ることができます。
初期の脱灰したC0(以下で説明))の場合、治ることがありますが、
一度虫歯(C1〜C4)になっしまうと、、元に戻ることはありません。
C0
C1
C2
C3
C4
常に、歯の表面では脱灰と再石灰のバランスが
保たれています |
歯の構造
エナメル質 : 歯の部分のうち、歯肉の上に
生え出ている歯冠部の表面を被っている、
人間の体の中で一番硬い組織です。
この固さはほぼ水晶と同じ固さです。
象牙質 : 歯冠部と歯根部にわたり、
歯の大部分を占める、エナメル質よりも
やや柔らかい組織です。
虫歯になったり、削ったりすると痛みを感じます。
歯髄 : 歯の神経と呼ばれるところで、
神経のほかに血管やリンパ管などが通っています。
歯槽骨 : 歯を支えている骨で、
歯槽膿漏(歯周病)などにより破壊されると、
歯がグラグラになったり、抜け落ちたりします。
歯肉 : 歯槽骨を被っている柔らかい組織で、
一般には歯グキと呼んでいる部分です
虫歯の進み方
C0:エナメル質歯の表面のエナメル質の内部に、
脱灰の初期の白斑が生じます。
肉眼的には虫歯(むし歯)の穴が
認められないものです。
再石灰化により、正常に回復する可能性があります。
C1:虫歯がエナメル質にできている状態です。
エナメル質には神経がきていないので
この段階では痛みを感じることがほとんどなく
なかなか存在に気づきません。
再石灰化は期待できない状態ですので、
これ以上虫歯が進行しないように
治療が必要となります。
C2:虫歯が象牙質まで進行した状態です。
この部分にまで虫歯が進むと、
歯髄〈しずい〉(神経)に近いため、
冷水や甘いものでしみたり、
強く噛むと痛みなどの自覚症状が出てきます。
象牙質はエナメル質よりも軟らかいく
虫歯が進行しやすいので一刻も早く
治療をしなければいけません。
C3:C2を放置しますと、虫歯が
歯髄〈しずい〉(神経)まで達してしまい、熱いものが
しみたり、睡眠中にひどく痛んだりしてきます。
炎症をおこした歯髄(神経)をとる治療が
必要になるため、治療にかかる時間や
費用がかかってしまいます。
ここまで虫歯が進行するまでに歯科医院にて
治療をすることが望ましいです。
C4:歯の上部が虫歯で崩壊してしまい、
ほとんど根だけ残った状態になります。
この段階までくると、抜歯(歯を抜く)しか方法が
ないことが多いです。
たとえ歯の根を治療して残しても、
神経が死んだ歯は徐々にもろくなっていき、
折れたり割れたりして抜歯に至ることが
多くなります。
C1〜C4は虫歯になっている状態です。
再石灰化することはないので、
放置していると虫歯は徐々に進行していきます。
できるだけ早い時期に歯科医院にて
治療をすることで進行を止めることが必要です。
早期に治療をすれば痛い思いをする可能性も
低くなりますし、 進行していない虫歯の場合には、
削らずに様子見で済む場合もあります。
当然、治療にかかる時間や費用も少なくなります。
むし歯になる4つの条件
以下の4つの条件が影響して
虫歯になります。
@虫歯菌:お口の中のミュータンス菌が
プラークの原因となります。
A糖質:食べ物の中の糖分をミュータンス菌が
分解してネバネバしたプラークが
歯にこびりつきます。
B歯の質:歯の形や歯並び、そして歯が作られる
栄養病気などが虫歯に強い歯や
弱い歯を作ります。
C時間:歯に糖質が接触する回数、
時間が増えると虫歯になります。
脱灰と再石灰化
通常食事をとると、歯の表面についた
プラーク(歯垢)中の虫歯菌が、砂糖などを
利用して酸をつくり、歯の表のエナメル質の
無機成分(ハイドロキシアパタイト)が
溶け(脱灰)始めます。
しかし、唾液の働きにより、40分から60分ほどで
酸性度がもとの状態(中性)に戻ります。
そうすると、一度溶かされた無機成分が
歯の表面にもどっていきます。
これが再石灰化です。
歯の表面は、常に脱灰と再石灰化を
繰り返しています。
ところが、だらだらとお菓子を食べていると、
脱灰されている時間が長くなり、
再石灰化の時間が短くなるため、
徐々に歯の表面が白く濁ってきたり(CO)、
ついには歯の表面に穴があいてたり
虫歯になってしまい(虫歯C1〜C4)
もう再石灰化では元には戻らなくなります。
この脱灰と再石灰化のバランスには、
飲食の頻度や種類、歯磨き、
フッ素の利用の仕方のほか
お口の中の細菌の種類や量、唾液の性質や量など
様々な要因がかかわっています。
自分のお口の中の状態をよく知って、
再石灰化能力を高める工夫をすれば
むし歯は防げます。
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